音楽療法って何ですか?  
 
  音楽療法とは、音楽がもつ精神的・生理的・社会的な働きを活用して、心身の発達を促したり、精神的な悩みや問題を解決したり、あるいは生きる意欲や希望を高めたり、さまざまな疾病の予防や治療に用いられる音楽の力によるセラピーのことです。
 したがって、音楽療法は病気を予防したり改善するという明確な意識と目的をもって実施されるものであるため、娯楽の要素が強く病気を意識しない通常の音楽鑑賞とは性質を異にしています。
 一般的に、音楽療法は、楽器を演奏したり歌を唄うという能動的(動的)音楽療法と、音楽を静かに聴き入るという受動的(静的)音楽療法があります。前者は身体や手足、口を動かすため、筋肉の動きを伴う運動という要素が加わっています。また後者の場合は、人間の五感の中で聴覚だけをうまく使って行われるものです。
 現在、医療施設や老人施設などで音楽療法をペイシェントに提供するのは、音楽活動を展開できる音楽療法士であり、ペイシェントの症状にあわせて能動的音楽療法と受動的音楽療法を組み合わせて行っているのが実状です。

 音楽療法は今日、医学的にその効果が認知されるようになり、
1)心身症の改善
2)痛みの緩和
3)血圧や心拍、ホルモンの正常化
4)認知症や脳神経疾患の改善
5)自閉症や生活習慣病の改善
などに活用されています。
加えて、免疫力向上による感染症やがんの予防や回復などに対しても波及効果をもっています。

 音楽のもつ治療的な効果は、「音楽理論」を唱えた古代ギリシャ時代の哲学者ピタゴラスによってすでに説かれています。ピタゴラスは、音楽が人間の社会性や道徳心、あるいは宗教心を豊かにすることを唱えていました。そういう意味で、音楽療法の原点は古代にまで遡ることができるのです。

 
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